みなさん、こんにちは。 アプリマーケティング研究所、iPhonePLUS出張所です。本日は「みらいのこくばん」を作られている株式会社サカワさんへのインタビュー記事をお送りします。

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※株式会社サカワのみなさん。インタビューに協力いただいた2名は常務取締役の坂和寿忠さん(中央)、係長の鈴村卓也さん(一番左)

Q どうして「みらいのこくばんプロジェクト」を始めたのか?

坂和:我々は、1919年から黒板を100年間くらい作り続けている会社なのですが、黒板って技術的にこの100年間ほとんど進歩がないんですよ。つまり「100年前の学校にある黒板」と「今の2014年の黒板」って何も変わってないんです。

 それで、当然のことながら製品の価値も下がって、どんどん安くなっている。今では全盛期の3分の1まで価格が下がることも珍しくはないんです。だから黒板業界もどんどん衰退をしています。

 とはいえ、100年間経っても未だに変わっていないことがもうひとつあって、それは学校で一番使われているツールは黒板だということ。

 そういう状況で、もう一度、黒板の価値を上げていきたいという想いがあって、「みらいのこくばんプロジェクト」を面白法人カヤックさんと共同でスタートした次第です。

※例えば「みらいのこくばん」では、スマホで背景を投映すれば、楽譜が簡単に書ける

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Q 「みらいのこくばん」は、いわゆる電子黒板とは違いますよね?

坂和:はい、我々も5年くらい前から電子黒板も販売しているのですが、致命的な課題があるんですよね。それは電子黒板が使いこなせないという課題です。

 最近、NHKでも「小学校の6割で電子黒板が活用できず」というニュースが話題になっていましたが、結局、導入したはいいけれど、使いこなせなくてホコリをかぶっていたりするんです。

Q 電子黒板が使われない理由って、何かあるんですか?

坂和:原因は3つほどあって、まずひとつめは電子黒板のソフトのインターフェースがいかにもパソコンっぽく、ツールがたくさんあって使うのが難しいと感じさせるようなものが多いんです。でかいタッチパネル付きのパソコンといっても過言ではない。

 そして、2つめが先生のITリテラシーもそれほど高くないし、IT企業みたいに新しいものをすぐ受け入れられる文化ではないこと。先生にとってはなんかこう異物みたいな感じだと思うんですね。

 そして3つめが面倒くさいこと。電子黒板というのは学校に1台くらいしか置かないので、使い方をマスターする機会がないし、大きいから持ち運びづらい。

 というところで、使いこなせている学校は1割もないんじゃないかと思っています。実際、先生から「どう使えばいいかわからない」「結局、移動してまで使わない」と意見をいただきます。

 そのため、「みらいのこくばん」を企画する際には、「今のアナログな黒板を殺さない」「誰でも簡単に使える」という2つの要素は必須だろうなと考えていました。

※普通の黒板を使っているのがポイント。上部にプロジェクターを設置し、データさえあればタッチ操作で画像や動画を投映できるようになっている

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坂和:電子黒板は準備の手間もありますから、結局、使わないという選択をしがちです。簡単に使えないと、やっぱり定着しないですよね。

 先生ってすごく激務らしくて、生活指導をしたり、生徒の親との対応もするし、成績を付けなきゃいけないし、事務処理もある。授業だけやっていればいいわけではないんですね。

 土日に部活の顧問をやっている先生は「休みもないよ」とさえ言います。もう、ブラック企業と言われてもおかしくないシチュエーションもあると思います。学校からは「7時には絶対帰れ」と早めに帰されてしまうらしいのですが、当然、仕事が終わらないので、家に帰ってから作業をしている先生も多いみたいですよ。

Q ちなみに、海外だと電子黒板って使われているんですか?

坂和:進んでいる国では電子黒板がメインになっていますね。もう電子黒板を真ん中にポンと置いて、サブで普通の普通の黒板を置いておくみたいな。

 ただ、「これって何で成り立つのかな?」と考えたことがあるのですが、海外の学校ってクラスの人数が少ないんですよ。10人くらいで椅子を並べて授業を受けるようなところも多い。

 日本の学校って1クラス30人くらいいるので、電子黒板だと小さいんですよね。

Q 「みらいのこくばん」はどんなふうに作ったんでしょう?

鈴村:最初は、とにかくいろんな案をブレストで出しましたね。「寝ている生徒を自動で検知する」「音符を書いたら音が鳴る」「生徒がスマホで挙手できる」とか。

 チョークとデジタルを組み合わせたいというのは軸にありました。まじめな機能もいいですけれど、子供達が楽しくなるようなワクワクする機能を付けたいなと考えました。

 その後、学校の授業を見学に行って「これは違うな」とアイディアを精査していった感じです。

 普通の電子黒板って、PCの画面をそのまま投映したものなのですが、「みらいのこくばん」は必要な所だけを黒板にポッと浮き上がるようにしていて、その他の部分を黒い背景にすることでプロジェクターの光が映っていないように見せています。

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※「雨」と書くと黒板に雨が降ってくる。傘の絵を描くとそこだけ雨が降らない。というおもしろ機能も搭載している

Q いつ頃に販売していく予定ですか?

坂和:時期については未定ですが、春先くらいには販売スタートしたいですね。

 そもそも最初は「おもしろい!」と話題になればいいなっていうくらいの気持ちでした。でも、想像以上に反響も大きかったので、ちゃんと商品化に取り組むべきだなと考えています。

Q もしこれが普及したら、学校の授業は何が大きく変わりますか?

鈴村:一番大きいのは画像系ですね。スマホで撮った写真や動画も、そのまま黒板に投映できます。大きなロールスクリーン式の地図を上にガチャンって引っかけて広げる必要もない。

 それと、授業に使う教材の資産化ができるようになること。学校の授業って何回も同じことをやるわけですよね。3クラスあったら3回同じことをやるし、また翌年も同じようなことをやります。

 授業の素材をデータで残しておけば再利用もできるし、後輩の先生に受け渡しもできて、効率的です。

 先ほど、学校の先生は激務だという話がありましたが、黒板をうまくデジタルに融合することで、先生の仕事も効率化して減らせていけたら良いですよね。

Q 今後の意気込みなどを教えてください。

坂和:教育業界って本当に堅い業界で、教育にぶら下がってお金儲けしか考えてない人もたくさんいるんですよ、そこは変えなきゃいけない。

 たとえば「この市町村はこのメーカーのエリアだから、この製品しか導入できない」ということもあって、せっかく良い製品があっても、くだらない事情で使われなかったりもします。それって、大人たちの都合であって、子供達にとって最適な選択ではないわけですよね。そういう健全でないところは、どうにか壊して変えていきたいですね。

「みらいのこくばん」の使い方は動画を見てもらえるとわかりやすいと思います。

取材協力:株式会社サカワ
みらいのこくばんプロジェクト:http://www.mirakoku.com/

■編集後記

 老舗の黒板メーカーで、こういう新しいチャレンジができるというのは素晴らしい。スマホが普及してアプリさえあれば、いろんなデバイスのリモコンやハブになる。インターネットから飛び出したところでも、おもしろいサービスや製品はどんどん出てくるはず。

 

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