文●山下博人(MacPeople編集部

  Androidスマホの最新情報や、気になることなどを探るこのコーナー。今回は「Xperia」の象徴ともいえるホームアプリについて、ソニーモバイルコミュニケーションズ UXデザイン&企画部門Human Interface Design課 統括課長の秋山由希子氏に話を伺いました。合わせて、PART2では、auの新CMについてもリポートします。

■PART1:「Xperia」ホームアプリ開発者インタビュー

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↑ソニーモバイルコミュニケーションズ UXデザイン&企画部門Human Interface Design課 統括課長 秋山由希子氏。ホーム画面の壁紙、アイコンのデザインなど、主に「Xperia」の中に入っているアプリケーションのデザインなどを担当する。


■「コズミックフロー」から「エクスペリエンスフロー」へ

−−「Xperia」はホームアプリのデザインの美しさも人気の秘訣であると思っているのですが、現在のデザインに至った経緯について教えてください。
秋山氏:ホームアプリは「Xperia」初代モデルのころはブルーフロー(Blue Flow)、「Xperia NX」からは7色のテーマカラーに設定できるコズミックフロー(Cosmic Flow)というデザインを提供していました。波型のデザインは、ネットワークの象徴として、プレイステーションと合わせていこうという狙いで採用しました。それが2012年にソニーエリクソンからソニーモバイル時代となり、いわゆる”ワンソニー”というキーワードのもと、よりソニー的に進化しました。ちょうど「Xperia Z」の頃ですが、それまでの「コズミックフロー」と呼んでいたものからエクスペリエンスフロー(Experience Flow)というものに変更しております。色の印象でいいますと、単色ベースから、複数のカラーを使用したデザインになっております。

初代

↑初代「Xperia」の「ブルーフロー」。当時は青色をベースとしたデザインが採用されていた

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↑こちらは2012年に発売された「Xpeira NX」の「コズミックフロー」

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↑「Xperia acro HD」のコズミックフロー。7色それぞれで展開していた

−−言われてみますと、確かに「Xperia Z」から同じ波型のデザインながら色数が増えていますね。何色になったのでしょうか?

秋山氏:実はソニーでは「エクスペリンスカラー」というカラーコードを定義しています。ウォークマンのアイコンは紫、アルバムのカラーはオレンジ、ムービーは赤というように、ユーザーの体験できることを「Watch(見る)」「Listen(聴く)」「Play(遊ぶ)」など6つに分類して、それをそれぞれ色で定義しています。ちょうど、このような定義を決めた時期と「Xperia Z」が出る時期が一緒だったということもありまして、「コズミックフロー」から「エクスペリエンスカラー」を使ったカラフルな壁紙に変更しました。

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↑「Xperia Z」の「エクスペリエンスフロー」。ソニーの「エクスペリエンスカラー」をうまく使用している

−−波型のデザインは継承しつつ、カラー部分のみ変更されたわけですね。
秋山氏:いろいろ検討はしたのですが、それまで訴求していたスタイルを進化させるという選択をいたしました。スマートフォンはそれだけで完結した世界ではなくて、さまざまなデバイスとつながっていますので、ソニーとして、さまざまなエクスペリンスを届けたいという理由もそのひとつです。そもそも、端末の名称が「Xperia」ということもありますし(笑)、「エクスペリエンスフロー」という名称になりました。

■「エフォートレス」「ビューティフル」「フルーイッド」

−−デザイン面以外の部分については、どのように変化されたのでしょうか。
秋山氏:ホームアプリのポリシー自体は昔から変わっていません。ブランドイメージとして考えていることはもちろん、一方で、ユーザーの方の利便性を損なうようなものを作らないということを大切に考えています。それはホームアプリのみならず、すべてのデザインにおいて考えているポリシーなのですが、具体的には「エフォートレス(Effortless)」「ビューティフル(Beautiful)」「フルーイッド(Fluid)」という、3つのキーワードを掲げています。「エフォートレス」は煩わしい操作をしないで、何も考えなくても自然に使えるような操作感を出しましょうということです。「ビューティフル」は、まさにそのまま美しいということ。「フルーイッド」は”動き”やトランジションのところで、使って気持ちいいものを提供しましょうというものです。たとえば、指の動きと合わせて、自分が操作した反応がわかるような、細かな気持ちよさを提供する感じですね。

−−なるほど。その思想は、今回の2014年夏モデル版「エクスペリエンスフロー」にも、採用されているということですね。
秋山氏:ロックスクリーン時に画面に触れるとパーティクルが出るところなどは、まさに「フルーイッド」なところですね。また、今回のモデルはライブ壁紙で「Xperia」というものがデフォルトで入っておりまして、動かすと自然と色が変化し続けるような仕組みとなっているのも特徴です。「エバーチェンジング(Ever-changing)」と呼んでいるのですが、これまでのホームアプリをさらにポップにしています。これまでのホームアプリは女性からすると少し色が暗いなどという意見もいただいていましたので、今回、これを追加いたしました。また、今回お客さんがテーマをカスタマイズできるように、サードパーティが用意した壁紙を設置できるように工夫しております。基本的にホームアプリはモデルごとに少しずつ変化しているのですが、変化が必要ない部分に関してはそのままですね。

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↑ロック画面を触ると、星屑のような模様が表示される

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↑「Xperia Z2」は、「エクスペリエンスフロー」がさらに進化したデザインに

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↑「Xperia」ライブ壁紙は、色が徐々に変化し続ける「エバーチェンジング」仕様

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↑サードパーティが用意したテーマも使用できるようになった

■Googleが提供しているフレームワークを壊さないという考え

−−コズミックフローのころから、今のエクスペリエンスフローまで、「Xperia」のホームアプリは一貫して美しく、しかもオリジナリティを感じられるのがすごいと思っているのですが、例えば、先行して販売されていたiPhoneのホームアプリやフィーチャーフォンのデザインは特に意識していなかったのでしょうか?

秋山氏:そうですね。意識したとすれば、AndroidでGoogleが提供しているフレームワークを壊さないことでした。Android搭載のスマートフォンをお使いの方はおわかりかと思うのですが、ユーザーの方が自分好みにカスタマイズして使うことが魅力でもあるので、それを邪魔しないようにとは考えていました。ある調査結果によると、ソニーモバイルの「Xperia」のホームスクリーンは、他メーカーのものと比べて、ほかのホームアプリに変えないでそのまま使っていただけている方が多いようです。先ほども申しましたように、ブランドを訴求するだけでなく、1人のユーザーとして気持ちよく使えるかという点を考慮してデザインしておりますので、そのあたりも評価していただけているのかもしれません。

−−以前、ほかのXperiaの開発者の方にインタビュー取材した際、「Xperia」の開発はハードウェア部門とソフトウェア部門で垣根なくコミュニケーションして開発されているとお伺いしたことがあるのですが…。
秋山氏:東京のオフィスなどは、我々のチームのすぐ隣の島がプロダクトデザイナーのセクションになっておりまして、お互いでコミュニケーションを取りやすい状態にあります。また、初期開発でトレンドリサーチというものを行っておりますが、ここではプロダクトデザイナーだけでなく、我々Human Interface Designのデザイナーも一緒に参加して開発しております。

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↑「Xperia Z2」にはさまざまなテーマが搭載されている

−−ちなみに、これまでのホームアプリの開発で難しかったところは、ありましたか?

秋山氏:ステータスバーを透過させるのには、苦労しました。昔の端末はステータスバーが黒色で透過しておらず、それによって画面が小さく見えてしまっていました。ハードウェアのデザインチームからも要求がありましたが、それを実現するためにデザイナーとソフトウェアのエンジニアが何度も協議を重ね、透明にしました。また、最近ではディスプレイの解像度が高くなったこともあり、アイコンや壁紙などの画像クオリティをどうするのかは、かなり注力しております。タブレットやファブレットなど大きい画面のデバイスもありますので、場合によっては高解像度のものを再度作り直して対応しています。カメラのアイコンやEメールのアイコンなども、細かいところではありますが気を使って制作したところですね。

■グローバルスタンダードとフラットデザイン

−−Xperiaは日本で人気がある一方で、グローバルでも展開されております。ホームアプリのデザインについては、そのあたりどのように考慮されているのでしょうか?
秋山氏:基本的にはグローバルでの展開を中心に考えてデザインしていますね。「Xperia」は、いろいろな国籍や年齢の方が使うものなので、そういう視点でデザインしています。チーム体制的にも、東京、中国、スウェーデンの3カ所に拠点がありますので、日本人ばかりの意見でなくグローバルのマーケティングから意見も取り入れて開発しており、それはXperiaのいいところだと思っています。

−−最近のデザインですと、何かとフラットデザインが流行している感じもしますが、そのあたりはどうお考えでしょうか?
秋山氏:いろいろと検討はしていますが、バランス次第ですね。コンテンツが主役となるメディアアプリ、WHAT’S NEWなどは、機能性を考慮しながら、最適なものを取り入れていくというスタンスで作ってます。何が何でもフラットデザインにすることが、本当に正解なのかという気もしています。たとえば、すべてのアイコンがフラットデザインとなった場合、果たしてお目当てのアプリをすぐに探すことができるのか。また、カメラアプリのデザインに関しても、確実に押せるようにわかりやすくデザインしないと機能しないので、やはりバランスを考えたデザインが必要であると思っています。闇雲に模倣したりトレンドを追っていくことはしていません。

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↑アイコンのデザインは、機能性を考慮しながら、最適なものを取り入れていくというスタンス。

 以上、まずは「ホームアプリ」という視点から「Xperia」を紹介してみましたが、いかがでしたでしょう? 今後もさまざまな視点からAndroidスマートフォンを紹介していく予定なので、お楽しみに。


■PART2:auの新CMとキャリアアグリゲーション

 続いては、KDDIの新CMについて。KDDIは2014年5月29日、都内で新テレビCMシリーズについての発表会を開催しました。新しいCMキャラクターには、福士蒼汰さん、杉咲花さん、松岡修造さん、柳原可奈子さんの4名を起用。auショップを舞台にしたものになるようです。P1000089

↑auの新CMに登場する、福士蒼汰さん、杉咲花さん(発表会より)。

 さて、このCMでもフィーチャーされている、夏モデルから対応の高速LTE「キャリアアグリゲーション」ですが、auのホームページにその対応エリアが発表となっていました。残念ながらMAPではなく住所表記なので全体像がつかみにくいのですが、北は北海道から南は九州まで広範囲で展開しているようです。ただし、東北では青森や岩手などは対応エリアはないようで、すべての県をチェックしたわけではありませんが、対応エリアがない県もあるようです。ちなみに東京は人口が多い都市部のみでなく比較的広範囲で対応している印象。千代田区を調べてみたころ、残念ながら弊社のある場所はまだ対応してないようですが、エリアのセレクトがどのように行われているのかは気になるところです。このあたり、何か続報が入り次第紹介していきたいと思います。

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↑auのホームページより。「※は、キャリアアグリゲーション基地局エリア」とのこと。

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↑同じくauのホームページより。現状、千代田区では数カ所が対応している。

 

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